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★埼玉県飯能市Part238★
32 名前: まちこさん二十歳になりました 投稿日: 2021/05/05(水) 01:02:18 ID:rufHdBAw [ 119-171-245-158.rev.home.ne.jp ]
・UFOを待ち望む人々 『美しい星』(一九六二年)

 埼玉県飯能市の大杉家の四人は、それぞれが空飛ぶ円盤を目撃したことから、自分たちはほかの天体からやってきた宇宙人だと信じる。
父の重一郎は「宇宙友朋会」を組織して、地球の平和を守ろうとする。

 一方、仙台の羽黒ら三人は地球の破滅を待望し、重一郎に論戦を挑む。
私は中学生の頃、「三島が書いた唯一のSF」と聞いて本作を読んだが、後半で延々と議論が展開されるのに辟易した覚えがある。解説で奥野健男が「世界の現代文学の最前列に位置する傑作」と絶賛するのに、本当かよと思ったものだ。


 今回読み返しても、議論の部分は退屈だ。
ただ、三島自身が空飛ぶ円盤に関心を抱いていたこともあり、重一郎らが雑誌を通じて啓蒙活動を行なう様子がリアルだ。
また、娘の暁子が同じ金星出身だという青年に体を任せ、妊娠するが、男は姿を消すというエピソードは滑稽で悲しい。

 また、舞台となる飯能という町の描写もいい。

「街燈のあかりがまだ一列にのこる飯能の町から、六時の鐘音が昇ってきた。
畑のみどりや蔵の白壁はみずみずしく、二三羽の鴉が目の前を斜めに叫びながら飛び過ぎた。
西南には山王峠から南へ走る山々が揃って現われ、天頂の雲もすでに緋に染まっていた」

『三島由紀夫事典』(明治書院)によれば、「平凡な都市の中で、三島が飯能ほど詳細に描写した都市はない」という。

 三島はよほどこの町を気に入っていたのか、一九六八年に刊行した最後のエンタメ系長編『命売ります』(ちくま文庫)でも、主人公を飯能に向かわせている。

https://www.bookbang.jp/review/article/659847

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